命の語りべ(講演活動)として 


〜車椅子ユーザーの立場から夢や希望を語ります〜

車椅子生活者だからこそ、伝えることができるメッセージがあります

 私は下呂市で車椅子生活をしている北村祐次といいます。私は市内のデイサービスセンターに勤務する一方、福祉を身近に感じてほしいとの願いから平成10年より県内の小学生、中学生、高校生、一般の方、福祉関係者などを対象に「福祉講演」を行ってきました。今年度もより多くの方々に私の話を聞いていただきたく、勝手ながらご案内している次第です。車椅子生活者の『生の声』が必要なときがありましたらご連絡ください。


北村祐次(きたむらゆうじ)のプロフィール
昭和46年生まれ。下呂市在住。
妻、息子、娘、母の5人家族。東北福祉大学社会福祉学科卒業。
市内のデイサービスセンターに主任生活相談員として勤務。
社会福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)、福祉レク・ワーカーなどの資格を取得。

 24歳の時、海水浴中の事故により頸椎を損傷、四肢麻痺となる。厳しい3年間のリハビリ期間を終え、「障害がある自分にできる事は何か?」を考え抜いた結果、『車椅子にふれあう会』を立ち上げ、自分の体験を語る活動をスタートさせる。『車椅子から見える世界』『どのように障害を乗り越えてきたのか』『心のバリアフリー』『共に生きる』などのテーマで子供からお年寄りまでわかりやすい内容と笑顔と元気、そしてつまらない冗談で会場を沸かす。


私が皆さんにお伝えしたいこと

 子ども達に体験談をお話しする前に必ず私は「私を見て、気の毒な人やかわいそうな人と思うか」と尋ねます。すると子ども達のほとんどは手を上げます。そして私から子供たちへの「固定観念を変えるべき」命の語りが始まります・・・。

 子ども達が私に対してネガティブなイメージを持つことは悪いことだとは思いません。「気の毒」や「かわいそう」と思う延長上に「障害(あえてこの字を使います)者やお年寄り、マイノリティーな立場の方々の「力になりたい」「助けたい」と思う気持ちが存在している可能性があるからです。だから子ども達に対してその気持ちを否定することはありません。

 ただ子ども達が感じたこと「気の毒」や「かわいそう」といった姿が「本当の私」をあらわしているのかといえばそれは違うと思います。私は自分を「気の毒な人」とも「かわいそうな人」だとも思っていません。

 確かに事故にあった当時はショックが大きく、生きる希望をなくし、目の前が真っ暗になりました。しかし家族や友人、周りの人たちの愛に支えられ、生きる希望を見つけました。今では車椅子の生活もまんざらではないと思っていますし、「楽しいこと」や「できること」もたくさんあるのだと気がつきました。

 だから私は自分の経験談を話すことで子ども達に見た目は少し違うけれど「同じ人間なんだということを知ってほしい」「身近な存在として感じてほしい」と思い、語り続けています。身近な存在に感じられるからこそ、「誰もが幸せになれる社会づくり」を真剣に考えると思うのです。

 世界に目を向ければ、肌や目の色、思想や宗教などで多くの人間が対立し、憎しみを持って生きています。日本では体型や見た目、考え方が違うだけで一人を大勢で中傷したり、無視したりといったいじめが存在します。さらにタチが悪いのはインターネットを使った陰湿な書き込み・・・。そこには無責任に発せられる「消えろ」「死ね」などという醜い言葉があふれています。

 私は「人と違うことはいけないことなのか」「みんな同じでなければいけないのか」といつも考え、子ども達に「みんな同じ顔、同じ体つき、同じ考え方だったらどう思う」と問いかけます。すると子ども達は笑いながら「嫌だ」「気持ち悪い」と各々に答えてくれます。みんなそれぞれに違うから相手に引かれたり、学べたりするのだと思います。また人の本当の値打ちは見た目などでは計り知れないとも思っています。お互いの違いを理解し、心の目で接することが重要だと思います。

 私は宗教家でも、哲学者でも、教育者でもありません。そこらへんにいる俗っぽい「おじさん」です。だから特別に「いいこと」は語れませんが、この世の中に住むすべての人が「見た目で判断をすることがなく、お互いをちゃんと理解できる社会」「どんな人も幸せに暮らせるような世界」の実現を目指し、今日も語っているのです。

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